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産休手当はいくら?出産手当金の計算・申請・入金時期を徹底解説

中村 亜希 / 更新:2026-06-24
産休手当はいくら?出産手当金の計算・申請・入金時期を徹底解説
「産休に入ったら、お給料はどうなるの?」——出産を控えた相談者から、私が一番よく受ける質問です。結論から言うと、健康保険から出産手当金(いわゆる産休手当)が、休んだ期間の給与の約3分の2、出るんです。

私はFPとして7年、産休・育休の給付金相談を受けてきました。標準報酬月額が28万円なら、産前産後の98日間でざっくり60万円前後。決して小さくない額です。

この記事で分かること:いくらもらえるかの計算式、申請書の書き方、入金までの期間、退職・パート・公務員での扱い、傷病手当金や扶養との関係。気になる所から読んでください。

産休手当(出産手当金)とは?まず結論から

【知らなきゃ損】「産休」と「育休」の手当と戦略
【知らなきゃ損】「産休」と「育休」の手当と戦略

「産休手当」は通称で、正式名称は出産手当金。勤務先の健康保険に入っている人が、出産で仕事を休んだ期間の収入を補う健康保険の制度です。

産休手当は産休中の収入を保障する給付金

出産前後は働けません。その間、無給になる人がほとんどです。その穴を埋めるのが出産手当金で、健康保険組合や協会けんぽから本人に支給されます。

私が窓口で見てきた限り、ここを「会社が払うもの」と勘違いしている方が本当に多い。違います。お金の出どころは健康保険です。

出産育児一時金・育児休業給付金との違い

似た名前の給付が3つあり、混同しがちです。役割がまったく別なので、表で整理します。

出産・育児に関わる3つの給付の違い
給付の名前目的だいたいの金額支給元
出産手当金(産休手当)産休中の収入補償給与の約2/3健康保険
出産育児一時金出産費用の補助子ども1人につき原則50万円健康保険
育児休業給付金育休中の収入補償休業前賃金の50〜67%雇用保険

出産育児一時金は2023年4月に42万円から50万円へ増額されました(本人支給分48.8万円+産科医療補償制度掛金1.2万円)。多胎なら人数分です。

支給される条件をかんたんチェック

出産手当金がもらえるのは、次の条件をすべて満たす場合です。

出産手当金の受給条件チェック
条件内容
健康保険の被保険者勤務先の健康保険に自分が加入していること
妊娠85日以降の出産妊娠4か月以降。流産・早産・死産も対象
出産のため休業産休を取って仕事を休んでいること
原則無給休業中に出産手当金以上の給与をもらっていないこと

注意してほしいのは1つ目。夫の扶養(被扶養者)に入っているだけの人は対象外です。自分が被保険者である必要があります。

産休手当はいくらもらえる?計算方法とシミュレーション

ここが一番知りたいところですよね。出産手当金は1日あたり標準報酬日額の3分の2、つまり給与の約67%です。実際に数字を入れて計算してみます。

産休手当はいくらもらえる?計算方法とシミュレーション

標準報酬月額の調べ方

計算のカギは「標準報酬月額」。これは社会保険料を決めるための、月給を区切りのいい段階にあてはめた金額です。

自分の標準報酬月額は、給与明細の健康保険料や厚生年金保険料から逆算できます。一番確実なのは、勤務先の総務か健康保険組合に聞くこと。「私の標準報酬月額は今いくらですか」と一言で済みます。

支給額の計算式と具体例

計算式はこうです。

(支給開始日前12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日)× 2/3 × 休んだ日数

例えば標準報酬月額が30万円で、産前産後あわせて98日間休んだ場合を試算します。

標準報酬月額30万円の人の出産手当金(試算)
計算式に基づく概算。1円未満は端数処理で前後します。
項目金額・日数
標準報酬月額300,000円
標準報酬日額(÷30)10,000円
1日あたり支給額(×2/3)6,667円
休業日数(産前42+産後56)98日
合計支給額約653,366円

標準報酬月額28万円なら、1日あたり約6,222円。同じ98日で約61万円。月給が高い人ほど支給額も上がる仕組みです。

支給される期間(産前・産後)

対象になるのは、出産日(予定日より遅れた場合はその遅れた分も含む)以前42日間から、出産日の翌日以後56日目までのうち、会社を休んだ期間です。

多胎妊娠なら産前は98日間に延びます。双子以上の方はここが大きく変わります。

産休手当の申請方法と入金までの流れ

申請は「出産手当金支給申請書」を健康保険に提出します。1枚の書類に、本人・医師(または助産師)・事業主の3者が記入する欄があるのが特徴です。

産休手当の申請方法と入金までの流れ

申請書の記入例と医師・事業主の証明欄の書き方

申請書は大きく3パートに分かれます。それぞれ書く人が違います。

出産手当金支給申請書の記入分担
記入欄書く人主な内容
被保険者情報本人氏名・住所・振込口座・申請期間など
医師・助産師の証明出産した病院出産日・出産予定日・出産児数
事業主の証明勤務先勤務状況・賃金の支払い有無と金額

実務でつまずきやすいのが医師の証明欄。出産後に書いてもらう必要があるので、退院前に「出産手当金の証明をお願いします」と伝えておくとスムーズです。私はいつも、産院に申請書を持参するよう相談者に勧めています。

提出先と申請のタイミング

提出先は、自分が加入している健康保険です。協会けんぽなら各都道府県支部、健康保険組合なら組合へ。多くの場合は勤務先経由で出します。

申請のタイミングは産後56日が過ぎてから、まとめて1回が基本。産前と産後で分けて出すこともできますが、医師の証明料が2回分かかるので、私は1回でまとめる方を勧めます。

申請から振込までの実際の期間

ここは正直に書きます。申請書を提出してから振り込まれるまで、おおむね2週間〜2か月。健康保険によって差が大きいです。

協会けんぽは比較的早く、書類不備がなければ2週間〜1か月程度で着金するケースが多い。一方、書類が会社で止まっていると、そこから一気に遅れます。出産直後の家計は出ていくお金が多いので、入金は「すぐではない」前提で貯蓄を用意しておいてください。

会社が手続きしてくれない場合の対応

「会社が動いてくれない」という相談、実は珍しくありません。結論、出産手当金は本人が直接、健康保険に申請できます。会社経由が必須ではありません。

ただし事業主の証明欄だけは会社に書いてもらう必要があります。ここを拒否されたら、加入先の健康保険(協会けんぽ支部や健保組合)に相談してください。証明が得られない事情を伝えれば、対応方法を案内してもらえます。

雇用形態・加入先で変わる受給条件と注意点

【知らなきゃ損】産休・育休の上手な取り方【社労士が解説】
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「パートでももらえる?」「退職したら?」——ここが一番不安の声が多いところ。条件は雇用形態ではなく、健康保険の被保険者かどうかで決まります。

パート・アルバイト・派遣など非正規雇用の場合

パートでも派遣でも、勤務先の健康保険に加入していれば対象です。正社員かどうかは関係ありません。

逆に、労働時間が短くて健康保険に入っておらず、夫の扶養に入っているケースは対象外。自分の保険証の「保険者」が誰になっているかを確認してください。協会けんぽや健保組合の名前なら被保険者、夫の会社経由なら被扶養者です。

退職後・転職時の受給可否

退職した人でも、条件を満たせば資格喪失後も受給できる場合があります。ポイントは2つ。

退職後も出産手当金を受け取れる条件
条件内容
継続加入1年以上退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
退職日に受給中または受給要件を満たす退職日が産休期間内で、その日に出勤していないこと

見落としがちなのが「退職日に出勤しないこと」。挨拶のつもりで退職日に出社すると、その後の分が受給できなくなることがあります。実際に相談で何度か遭遇した、もったいないケースです。

公務員・自営業(国民健康保険)の場合

公務員は共済組合から出産手当金が支給されます。仕組みは協会けんぽとほぼ同じで、給与の約3分の2が基本です。

一方、自営業やフリーランスで国民健康保険の人は、原則として出産手当金がありません。これは国保に出産手当金の制度がないためです。出産育児一時金(50万円)は国保でも受け取れますが、休業中の収入補償はない。ここは制度上の大きな差です。

協会けんぽ・健康保険組合・共済組合の違い

計算式と基本ルールは共通ですが、運用には差があります。

加入先による出産手当金の違い
加入先対象者付加給付入金の目安
協会けんぽ中小企業の会社員などなし(基本どおり)2週間〜1か月程度
健康保険組合大企業の会社員など独自の付加給付がある場合あり組合により差
共済組合公務員共済の規定による共済により差

健康保険組合は独自の上乗せ給付を設けていることがあります。自分の組合の規約を一度確認する価値はあります。

他の給付との併給調整と税金・扶養への影響

「他の手当と一緒にもらえる?」「税金はかかる?」——損したくない気持ち、よく分かります。ここは正確に押さえておきましょう。

他の給付との併給調整と税金・扶養への影響

傷病手当金・失業手当との調整

同じ健康保険の傷病手当金とは、同じ期間について両方は受け取れません。出産手当金が優先され、調整されます。

失業手当(雇用保険の基本手当)は「働ける状態」が前提。産休・育休中は働けないので同時には受給できません。退職した場合は、受給期間の延長手続きをして、働ける状態になってから失業手当を申請する流れになります。

産休手当にかかる税金・社会保険料

うれしい話です。出産手当金は非課税。所得税も住民税もかかりません。

さらに産休・育休期間中は、申請すれば健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。免除中も年金は納めた扱いになるので、将来の年金額に不利は出ません。手取り感覚で言うと、給与の約3分の2でも実質的な目減りは思ったより小さいんです。

扶養や手取りへの影響と家計管理

出産手当金は非課税なので、配偶者控除などの「税法上の扶養」の判定に含まれません。ここを心配する相談者が多いですが、税金の扶養には影響しないと考えて大丈夫です。

家計管理の私の本音アドバイス。入金が後ろ倒しになるので、出産前に生活費の3か月分は手元に確保しておく。手当が入ったら、それを「後から戻ってくるお金」として、出産でかさんだ支出の穴埋めに回す。この順番で考えると慌てません。

【ケース別】特殊な状況での産休手当の扱い

妊娠・出産は予定どおりに進むとは限りません。早産や多胎など、心配なケースの扱いを整理します。

【ケース別】特殊な状況での産休手当の扱い

切迫早産・早産・流産・死産の場合

妊娠85日(4か月)以降であれば、早産・流産・死産であっても出産手当金の対象になります。つらい状況でも、この制度は使えます。

切迫早産で出産前から入院し、産休前に会社を休んだ期間については、出産手当金ではなく傷病手当金の対象になることがあります。出産日を境に給付が切り替わるイメージです。担当の健康保険に確認してください。

多胎妊娠(双子以上)の場合

双子以上の多胎妊娠は、産前の支給期間が42日間から98日間に延びます。労働基準法でも産前休業は14週間前から認められます。

出産育児一時金も「子どもの人数×50万円」。双子なら100万円です。支給額がまとまった額になるので、申請漏れがないように特に気をつけてください。

申請忘れ・時効(2年)の注意点

出産手当金には時効があります。請求できる権利は、産休の各日の翌日から2年。これを過ぎると、その分は受け取れません。

育児でバタバタしているうちに、というのが一番怖いパターン。産後56日を過ぎたら、できるだけ早く申請する。これだけは忘れないでください。

2025年最新の制度改正と出生後休業支援給付金

産休・育休の流れについて解説
産休・育休の流れについて解説

2025年からの改正で、夫婦で育休を取るともらえる新しい給付が始まりました。出産手当金とは別ですが、家計の見通しに直結するので触れておきます。

出生後休業支援給付金の詳細要件

出生後休業支援給付金は、子の出生直後に夫婦そろって一定期間の育休を取った場合に上乗せされる給付です。育児休業給付金に加えて支給され、合わせると休業前賃金の手取り相当(実質10割相当)を目指す設計になっています。

要件のポイントは、両親ともに対象期間内に育休を取得すること。配偶者が専業主婦(夫)など一定の場合は一人でも対象になります。詳細は加入先のハローワーク・健康保険で確認してください。

出生時育児休業(産後パパ育休)との関係

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)まで取れる、父親向けの休業制度です。分割して2回取得できます。

この期間に対応する給付が出生時育児休業給付金で、出生後休業支援給付金の上乗せも、この産後パパ育休とセットで効いてきます。パパが短期間でも育休を取る価値が、給付面でも大きくなりました。

社会保険料の免除について

前述のとおり、産休・育休中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。免除には申請が必要で、勤務先を通じて手続きします。

育休については、月内に14日以上の育休を取った月の保険料も免除対象になる仕組みがあり、短期の育休でも保険料負担を軽くできます。パパの短期育休と相性のいい制度です。

産休手当のよくある質問(FAQ)

相談現場で実際に多い質問を、短く答えます。

産休手当のよくある質問(FAQ)

よくある質問

産休手当とは?
正式名称は出産手当金です。勤務先の健康保険に加入している人が、出産で仕事を休んだ期間の収入を補う健康保険の制度。出産日以前42日(多胎は98日)から出産日翌日以後56日までの休業日について、1日あたり標準報酬日額の3分の2(給与の約67%)が支給されます。
産休手当はいくらかかる(自己負担)?
自己負担はありません。出産手当金は健康保険からあなたに支払われる給付で、お金を払う制度ではなくもらう制度です。しかも非課税なので税金もかかりません。費用がかかるとすれば、医師の証明欄を書いてもらう際の文書料(数千円程度)くらいです。
産休手当の申請はいつから始める?
基本は産後56日が過ぎてから、産前産後をまとめて1回申請します。事前に申請書を入手し、出産前に産院へ医師の証明を依頼しておくと当日スムーズです。請求の時効は各日の翌日から2年なので、産後はできるだけ早く動いてください。

最後に一つだけ。出産手当金は「自分が被保険者で、休んで、無給」なら、雇用形態に関係なく手が届く制度です。当てはまりそうなら、まず保険証の保険者名を確認することから始めてください。

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中村 亜希

中村 亜希

ファイナンシャルプランナー2級(AFP) ・ 育児給付金・補助金の家計相談実務7年

FPとして自治体窓口や社労士事務所と連携しながら、出産・育児に関わる給付金・助成金の一次情報を自ら確認して執筆しています。「申請漏れゼロ」を目標に、制度の改正があるたびに記事を更新しています。

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