妊婦のための支援給付とは?支給額・対象者・申請方法を解説

私はFPとして7年、出産・育児の給付金を扱ってきました。この記事では、第1回・第2回の金額、対象になる人、オンラインと紙どちらで申請すべきか、振込までの流れまで、一次情報を確認しながら整理します。
流産・死産になった場合や、転入・転出、外国籍といった「自分は対象外かも」という不安にも、ひとつずつ答えていきます。
妊婦のための支援給付とは?制度の概要をやさしく解説

妊婦のための支援給付は、子ども・子育て支援法に新しく作られた給付制度です。令和7年4月1日(2025年4月1日)に施行されました。
妊婦の産前産後の身体的・精神的・経済的な負担を軽くし、妊婦や胎児である子どもの保健・福祉の向上に役立てることを目的としています。給付の主体は市区町村で、申請窓口も住民票のある市区町村です。
制度がつくられた目的と背景
妊娠・出産にはお金がかかります。妊婦健診、マタニティ用品、出産準備。経済的な不安が、心身の負担に直結します。
こども家庭庁の資料では、この給付の財源として子ども・子育て支援金が充てられると説明されています。社会全体で妊婦と子どもを支える、という位置づけです。
妊婦等包括相談支援事業(伴走型相談支援)との関係
この給付は「お金を配って終わり」ではありません。前述のこども家庭庁資料では、給付に加えて面談をセットで実施する運用が示されています。
妊娠届を出すタイミングや出産前後に、保健師などと面談する。そこで困りごとを相談できる仕組みとセットになっています。給付を受け取る過程で、自然と支援につながる設計です。
旧制度(出産・子育て応援交付金)からの変更点
以前は「出産・子育て応援交付金」という名前で同じような支援が行われていました。金額の基本構造(5万円+5万円)は引き継がれています。
大きな違いは、法律にきちんと位置づけられた点です。交付金は予算ベースの事業でしたが、新制度は子ども・子育て支援法に基づく給付になり、継続性が高まりました。多胎の場合に胎児数に応じて増える仕組みも明確です。
支給額はいくら?第1回・第2回の内訳と多胎の扱い
一番気になる金額です。基本構造は、1回目が5万円、2回目が胎児1人あたり5万円。単胎なら合計10万円です。

| 回 | 申請できる時期 | 金額 |
|---|---|---|
| 第1回 | 医療機関で胎児心拍が確認された後 | 5万円 |
| 第2回 | 出産予定日の8週間前の日以降 | 胎児1人あたり5万円 |
| 合計(単胎) | - | 10万円 |
妊娠届出時にもらえる第1回の給付額
第1回は5万円です。申請できるのは、医療機関で胎児の心拍が確認された後。こども家庭庁の資料では、この確認をもって制度上の「妊娠」と定義しています。
妊娠届を出す=即もらえる、ではありません。心拍確認がスタートラインです。ここは勘違いしやすいので注意してください。
出生届出後にもらえる第2回の給付額
第2回は胎児1人あたり5万円。申請できるのは出産予定日の8週間前の日以降です。
2回目の給付には胎児数の届出が必要です。双子なのか単胎なのかで金額が変わるためです。なお、出産予定日より前に出産した場合は、自治体によって出産日を起算日とする案内があります。
双子・三つ子など多胎妊娠の場合の支給額
多胎は2回目が胎児数に応じて増額されます。1回目の5万円は固定、2回目が胎児の人数分です。
| 胎児数 | 1回目 | 2回目 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 単胎 | 5万円 | 5万円 | 10万円 |
| 双子 | 5万円 | 10万円 | 15万円 |
| 三つ子 | 5万円 | 15万円 | 20万円 |
多胎は準備にお金も手間もかかります。この増額分は本当にありがたいところ。胎児数の届出を忘れずに。
給付金は課税される?所得への影響
正直に言うと、ここを心配する方は多いです。手元の自治体・こども家庭庁の資料には、この給付の課税の有無を明示する記載が確認できませんでした。
確かな数値・取扱いを書けないので、ここは断定を避けます。課税の扱いが気になる場合は、お住まいの市区町村の給付担当に確認するのが確実です。同種の支援給付は非課税で扱われてきた経緯がありますが、ここでは出典が取れる範囲にとどめます。
誰がもらえる?支給対象者と対象外になるケース
対象になるかどうか。これが一番不安なところだと思います。まず大前提として、所得制限はないと自治体ページで案内されています。

対象となる妊娠週数・所得制限の有無
所得による線引きはありません。収入が高くても低くても、対象です。ここは安心していい点です。
妊娠週数の目安としては、1回目が胎児心拍の確認後、2回目が出産予定日の8週間前以降。週数そのものではなく、この2つの節目が申請の基準になります。
流産・死産・人工妊娠中絶となった場合の取り扱い
つらい話ですが、心配される方が多いので正直にお伝えします。流産・死産・人工妊娠中絶の場合も対象になる扱いが、自治体ページに明記されています。
横浜市は、令和7年4月1日以降の流産・死産・人工妊娠中絶も1回目・2回目の対象と案内しています。残念な結果になっても、申請を諦めないでください。
外国人・在留資格者や海外在住者の対象可否
この給付は、住民票のある市区町村が支給します。つまり国内に住民登録があることが軸になります。
在留資格を持って日本に住み、住民票がある方は対象になり得ます。一方、海外在住で日本に住民票がない場合は、住民票のある市区町村という前提から外れます。個別の在留状況での可否は、お住まいの市区町村に確認してください。
転入・転出など自治体をまたぐ場合の注意点
申請窓口は、申請する時点で住民票のある市区町村です。引っ越すと窓口が変わります。
私が窓口対応で見てきた中で多いつまずきが、転入直後の二重申請の心配です。1回目を前の市で受け取り、2回目を新しい市で申請、という流れになることがあります。転入したら、新しい自治体の給付担当に「1回目は前住所で受給済み」と伝えておくとスムーズです。
申請方法は?オンライン申請と紙申請の手順と選び方

申請方法は自治体によってオンラインと紙が用意されています。どちらでも金額は同じ。決め手は、手元にマイナンバーカードと使える環境があるかどうかです。
| 項目 | オンライン申請 | 紙申請 |
|---|---|---|
| 手間 | 自宅で完結 | 記入・郵送(または窓口)が必要 |
| 必要なもの | マイナンバーカード・スマホ等 | 届いた申請書・本人確認書類の写し |
| 向いている人 | カードがあり画面操作に慣れた人 | カードがない・書面で残したい人 |
オンライン申請のやり方とメリット・デメリット
オンラインの最大の利点は、窓口に行かず自宅で完結すること。妊娠中の外出は体力的にしんどいので、これは大きい。
デメリットは、マイナンバーカードと読み取れる端末がないと進めにくいこと。カードの暗証番号を忘れていると、そこで止まります。事前に確認しておくとつまずきません。
紙申請のやり方とメリット・デメリット
紙は、自治体から届く案内に同封された申請書に記入して提出します。カードがなくても進められるのが強みです。
弱点は、記入と郵送の手間、そして到着に時間がかかること。書き間違いがあると差し戻しになり、振込が遅れます。私の感覚では、カードがあるならオンラインの方が早くて楽です。
必要書類・本人確認書類・マイナンバーと口座情報の扱い
共通して必要になるのは、本人確認書類、振込先の口座情報、そしてマイナンバーに関する確認です。2回目は胎児数の届出も加わります。
口座は申請者本人名義が基本です。家族名義にしようとして止まるケースをよく見ます。通帳やキャッシュカードを手元に置いてから始めてください。具体的な書類一覧は自治体ごとに違うので、届いた案内を必ず確認しましょう。
申請期限と申請の案内が届くタイミング
申請期限は、自治体ページで確認できる範囲では、1回目が胎児心拍確認日から2年以内、2回目が出産予定日の8週間前から2年以内です。
| 回 | 起算日 | 期限 |
|---|---|---|
| 第1回 | 胎児心拍確認日 | 2年以内 |
| 第2回 | 出産予定日の8週間前 | 2年以内 |
2年あるとはいえ、忘れるのが一番もったいない。心拍確認後と出産予定日の8週間前、この2つを母子手帳やスマホのメモに書いておくと安心です。
申請から振込までのスケジュールと特別な配慮
申請したあと、いつ振り込まれるのか。ここは生活設計に直結します。先に断っておくと、日数の全国共通の目安は手元の一次情報では確認できませんでした。

申請してから振込までの日数の目安
振込までの具体的な日数は自治体ごとに運用が異なり、確かな共通数値が確認できません。創作はしません。
私の実務経験の範囲では、書類に不備がなければ数週間で振り込まれるケースが多い印象です。ただしこれは保証された数字ではないので、急ぐなら自治体の給付担当に「申請からおおよそ何日か」を直接聞くのが確実です。
DV被害などで住民票上の住所で受け取れない人への特例
住民票どおりの場所に住めない事情がある方。たとえばDVから避難している場合です。この給付は住民票のある市区町村が窓口になりますが、こうした事情には個別の配慮があります。
避難先の自治体や、もとの市区町村の給付担当・相談窓口に事情を伝えると、住所が加害者に知られない形での手続きを案内してもらえます。一人で抱え込まず、まず窓口に相談してください。
他の妊娠・出産関連給付との違いと併給できるか
「出産育児一時金と二重取りにならない?」とよく聞かれます。結論、目的が違う別の制度なので、基本的には別々に受け取れます。

| 制度 | 主な目的 | 窓口 |
|---|---|---|
| 妊婦のための支援給付 | 産前産後の負担軽減(5万円+5万円) | 市区町村 |
| 出産育児一時金 | 出産費用の補助 | 健康保険 |
| 出産手当金 | 産休中の所得補償 | 健康保険(被保険者本人) |
出産育児一時金との違い・併給可否
出産育児一時金は、出産にかかる費用を補助するもので、加入する健康保険から支給されます。妊婦のための支援給付は産前産後の負担軽減が目的で、市区町村から出ます。
出どころも目的も違うので、片方を受け取ったらもう片方が消える、という関係ではありません。両方とも対象なら、それぞれ受け取れます。
出産手当金との違い・併給可否
出産手当金は、産休で仕事を休んだ間の収入を補う制度で、健康保険の被保険者本人が対象です。働いている人向けの所得補償です。
妊婦のための支援給付とは性質がまったく違います。会社員で要件を満たすなら、出産手当金と支援給付の両方を受け取る形になります。重複で問題になるものではありません。
産科医療機関・自治体担当者向けの実務と問い合わせ窓口

ここからは支援する側の話です。制度の仕組みを正しく案内できると、妊婦さんの申請漏れがぐっと減ります。財源は子ども・子育て支援金で、運用主体は市区町村です。
産科医療機関向けの案内と実務フロー
医療機関で胎児心拍が確認された後が、1回目の申請の起点になります。この「心拍確認」が制度上の妊娠の定義です。
妊婦さんに「心拍が確認できたら市区町村で支援給付の申請ができますよ」と一声かけるだけで、初動が早まります。制度の流れはこども家庭庁が動画でも紹介しています。
自治体担当者向けの要綱・要領と相談窓口
自治体担当者は、こども家庭庁の制度資料で給付額・対象・面談運用の基本を確認できます。給付と面談をセットにする設計が示されています。
現金以外の給付を用意する自治体もあります。北九州市は、現金5万円のほか、令和7年度はポイント給付(55,000ポイント)も選択可と案内しています。地域の実情に合わせた運用の参考になります。
妊婦のための支援給付コールセンターの利用方法
分からないことは、お住まいの市区町村の給付担当やコールセンターに聞くのが一番早くて正確です。自治体ごとに専用の問い合わせ先が設けられています。
電話の前に、母子手帳・本人確認書類・口座情報を手元に置いておくと、その場で具体的に確認が進みます。
妊婦のための支援給付に関するよくある質問
よくある質問
最後に、私からひとつ。この給付は所得制限がなく、流産・死産でも対象になる、間口の広い制度です。だからこそ「知らずに申請しなかった」が一番もったいない。

今日やることはシンプルです。心拍確認後と出産予定日の8週間前、この2つの節目をメモに残し、住民票のある市区町村の案内を確認する。それだけで申請漏れはかなり防げます。
