パパの育休の取り方と手続き|申請手順・給付金・体験談を徹底解説

私はFPとして7年、育児給付金の家計相談を続けてきました。申請のタイミングを1つ間違えただけで、もらえるはずのお金を逃すケースを何度も見ています。
この記事では、制度の全体像から逆算スケジュール、会社への切り出し方、申出書の書き方、給付金のシミュレーション、夫婦での得する取り方、そして実際の体験談までまとめました。所要時間は読むだけなら15分ほど。準備の難易度は、手順どおり進めれば決して高くありません。
パパの育休制度の全体像|種類と取得できる条件

パパが取れる育休は、大きく2種類あります。「産後パパ育休(出生時育児休業)」と「通常の育児休業」です。この2つは取得できる時期も申出期限も違うので、まずここを正確に押さえてください。
産後パパ育休は2022年10月に始まった、比較的新しい制度です。厚生労働省の資料でも、父親の育児参加を後押しする目的が明記されています。
育児休業と産後パパ育休(出生時育児休業)の違い
一番大事なのは「いつ・どれだけ取れるか」の違いです。産後パパ育休は子の出生後8週間以内に、通算4週間(28日)まで。2回に分割して取れます。
一方、通常の育児休業は原則として子が1歳になるまで。保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。
| 項目 | 産後パパ育休(出生時育児休業) | 通常の育児休業 |
|---|---|---|
| 取得できる時期 | 子の出生後8週間以内 | 原則 子が1歳になるまで |
| 取得できる期間 | 通算4週間(28日)まで | 延長で最長2歳まで |
| 分割取得 | 2回まで | 可(条件あり) |
| 申出期限 | 原則 開始2週間前まで | 原則 開始1か月前まで |
| 休業中の就業 | 労使協定があれば一定条件で可 | 原則不可 |
産後パパ育休の申出期限は原則2週間前まで。ただし労使協定があれば、会社が最大1か月前までに設定できる点は注意してください。
取得できる対象者と期間
育児休業の対象は、原則として1歳に満たない子を養育する労働者です。父親・母親を問いません。
ただし全員ではありません。雇用契約の終了が近い有期雇用労働者などは対象外になり得ます。有期で働いている方は、自分の契約期間と子の年齢の関係を必ず確認してください。
自営業・フリーランス・公務員など雇用形態別の違い
正直、ここで多くの相談者がつまずきます。育児休業も育児休業給付金も、土台は「雇用保険の被保険者であること」が前提です。
つまり、自営業やフリーランスは雇用保険に入っていないため、この育児休業給付金の枠は使えません。会社員とは制度の土台が違う、と理解しておくのが安全です。
公務員は、民間の育児・介護休業法ではなく、それぞれの法令や条例にもとづく独自の育児休業制度が適用されます。手続きの窓口も給付の仕組みも勤務先の人事担当に確認するのが確実です。
男性育休取得率の最新データと社会的背景
出生時育児休業が2022年10月に創設され、2025年4月からは出生後休業支援給付金も始まりました。国として男性の育休を後押しする方向は、制度の動きを見れば明らかです。
私が窓口で感じるのも、ここ数年でパパの相談が確実に増えたこと。「取れるか」ではなく「どう得に取るか」を聞かれる時代になりました。
パパ育休の取り方|出産前から逆算する手続きの手順
ここからは実際の手順です。産後パパ育休の申出期限は原則2週間前まで。逆算して動かないと間に合いません。

全体の流れはこうです。出産予定日が決まったら、まず就業規則の確認から始めてください。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 妊娠が分かったら | 就業規則・社内の育休制度を確認 |
| 出産2〜3か月前 | 上司へ報告・相談、取得期間を相談 |
| 休業開始の2週間〜1か月前 | 育児休業申出書を提出(期限は制度・労使協定で異なる) |
| 出産後 | 出生を会社へ連絡、給付金・社会保険料免除の手続き |
手順1:就業規則と社内制度を確認する
最初の一歩は、自分の会社のルールを知ることです。就業規則や「育児・介護休業規程」に、申出期限や独自の支援制度が書かれています。
特に確認したいのは申出期限。労使協定があると、産後パパ育休の申出期限が最大1か月前まで延びている場合があります。ここを知らずに2週間前に申し出ると間に合わない、というのが典型的な失敗です。
ここまでできていれば正しい:自分の会社の申出期限と、申出書の書式の入手先が分かっている状態です。
手順2:会社へ報告・相談し申し出る
次に上司へ報告します。タイミングは出産の2〜3か月前が目安。引き継ぎの段取りもあるので、早いほど話がスムーズです。
うまくいかないときは——切り出しにくければ、いきなり上司ではなく人事に先に相談しても構いません。社内の手続きルートを教えてもらえます。
手順3:育児休業申出書を提出する
会社所定の「育児休業申出書」または「出生時育児休業申出書」を提出します。書式は会社からもらうのが基本です。
産後パパ育休と通常の育休では書式が分かれていることが多いので、どちらの申出かを取り違えないこと。ここまでできていれば正しい:会社に申出書が受理され、休業の開始日・終了日が確定した状態です。
手順4:育児休業給付金と社会保険料免除を申請する
給付金は雇用保険の制度で、支給申請の前提として会社経由で必要書類を整えるのが基本です。多くの場合、会社がハローワークへの手続きを代行してくれます。
社会保険料の免除も会社経由で手続きします。自分で動く部分は少ないですが、「会社にお任せ=放置」ではなく、申請状況を一度は確認してください。
完了状態:この手順で、育休の取得・給付金の申請・社会保険料免除の手続きまで一通り進められます。
会社への切り出し方と申請書類の書き方
制度は分かっても、「上司にどう言えばいいか」で止まる人が本当に多い。ここは競合記事でも薄い部分なので、具体的な言い方まで踏み込みます。

前提として、育児休業の手続きは会社への申出が基本。所定の申出書を使う運用が一般的です。
上司への伝え方・トークスクリプト例
私が相談者にすすめているのは、「相談ではなく報告+協力のお願い」の形です。お伺いを立てる言い方だと、断られる余地を与えてしまいます。
「ご報告です。妻の出産予定が◯月で、産後8週のうちに4週間、産後パパ育休を取得したいと考えています。引き継ぎは◯月までに整理しますので、進め方をご相談させてください。」
ポイントは3つ。①取得の意思を先に伝える ②具体的な時期と日数を出す ③引き継ぎ案をセットで示す。これで「現実的に回る話」として受け止めてもらいやすくなります。
育児休業申出書の記入例とテンプレート
申出書は会社の書式を使うのが基本ですが、書く項目はおおむね共通です。記入で迷いやすいのは「休業期間」と「子の生年月日(出産予定日)」の欄。
| 記入欄 | 書き方の例・注意点 |
|---|---|
| 申出年月日 | 提出する日付を記入 |
| 子の氏名・生年月日 | 出産前は出産予定日を記入し、出生後に確定させる |
| 休業の種類 | 「出生時育児休業」か「育児休業」かを取り違えない |
| 休業開始予定日・終了予定日 | 産後パパ育休は出生後8週以内・通算28日までで設定 |
| 分割取得の有無 | 産後パパ育休は2回まで分割可。回数を明記 |
出産前に提出する場合は予定日ベースで書き、出生後に正式な生年月日を会社へ連絡します。ここを忘れると給付金の手続きが止まるので要注意です。
手続きを忘れたときのリカバリー方法
「申出が期限ギリギリになった」「出生の連絡を忘れていた」——焦らなくて大丈夫なケースもあります。
まずは会社の人事・労務担当にすぐ連絡。給付金は会社経由で申請するため、社内で間に合えば取り戻せることが多いです。自己判断で諦めず、まず相談する。これが鉄則です。
育休中の経済的支援|手取りはいくらになる?

一番不安なのはお金の話ですよね。結論、育児休業給付金は休業開始から180日までが賃金の67%、181日目以降は50%です。
「67%なら3割以上減るのか」と思うかもしれません。でも、ここに社会保険料免除が効いて、実際の手取りはもっと高くなります。
育児休業給付金の支給額シミュレーション(月収別)
支給率67%を使って、月収別のおおよその給付額を出してみます。あくまで休業開始180日までの目安で、上限額や端数処理は加味していません。
| 休業前の月収 | 給付金の目安(月額) |
|---|---|
| 20万円 | 約13万4,000円 |
| 25万円 | 約16万7,500円 |
| 30万円 | 約20万1,000円 |
| 40万円 | 約26万8,000円 |
これは「額面67%」の数字です。ここからが大事で、育休中は給料がないため社会保険料が引かれません。
手取りが実質8割になる仕組み
普段の給料からは、社会保険料や所得税が引かれています。育休中はその社会保険料が免除され、給付金には所得税もかかりません。
だから「額面の67%」でも、手取りベースで比べると休業前の約8割相当になる、というのがよく言われる仕組みです。私が家計相談で試算しても、ここを知っているかどうかで取得の決断が変わります。
さらに2025年4月からは出生後休業支援給付金が始まりました。一定の要件を満たす場合に上乗せされる給付で、これにより手取りの目減りはさらに小さくなります。
社会保険料の免除と住民税の注意点
見落とされがちなのが住民税です。住民税は前年の所得に対してかかるため、育休に入っても請求が来ます。給付金からは天引きされません。
つまり、育休中も住民税は自分で払う必要がある。ここを忘れて家計が一時的に苦しくなる人を実際に見てきました。育休前に、住民税の支払い分を別に確保しておくと安心です。
夫婦で得する育休の取り方・活用術
ここが、私が一番伝えたいところです。産後パパ育休は2回に分割でき、労使協定があれば休業中の就業も一定条件で可能。使い方次第で柔軟に組めます。

制度を「ただ取る」のと「設計して取る」のとでは、家庭の負担も家計も大きく変わります。
産後パパ育休の分割取得・就業日数の活用シナリオ
産後パパ育休は2回に分けられます。たとえば出産直後に2週間取り、退院後の落ち着かない時期にもう一度2週間取る、という分け方が現実的です。
妻の里帰りから戻るタイミングに合わせて2回目を取る、という相談者もいました。「一番人手が要る時に合わせて取れる」のが分割の強みです。
同時取得と交代取得のメリット比較
夫婦で同時に取るか、交代で取るか。どちらが正解かは家庭の状況によります。私の立場としては、産後すぐは同時、その後は交代をすすめることが多いです。
| 観点 | 同時取得 | 交代取得 |
|---|---|---|
| 産後の負担 | 2人で対応でき産後の妻が休める | 片方に負担が寄りやすい |
| 育休期間 | 世帯としては短くなりがち | 世帯として長くカバーできる |
| 向いている時期 | 産後8週の体力回復期 | 妻の職場復帰後など |
正直、産後8週は妻の体力回復が最優先。ここはコスパより同時取得を勧めます。落ち着いてから交代に切り替えるのが、私の中での最適パターンです。
妻の出産前後と連動した育休計画の立て方
計画は妻のスケジュールから逆算します。出産予定日、入院・退院、里帰りの有無、妻自身の育休や職場復帰の時期。この4点を先に紙に書き出してください。
そのうえで「人手が足りなくなる谷」を見つけ、そこにパパ育休をぶつける。これが一番ムダのない組み方です。
【体験談】パパ育休のリアルな成功例と失敗例
制度の数字だけでは見えない部分を、相談現場で聞いた声からお伝えします。産後パパ育休は出生後8週以内・通算28日まで、という枠の中で皆さん工夫していました。

取得してよかったこと・想定外だったこと
よかった声で多いのは「夜間授乳を分担できて妻が倒れずに済んだ」というもの。逆に想定外だったのは、住民税の支払いと、思ったより家事の戦力になるまで時間がかかったことです。
「育休=休み」と構えていると、現実とのギャップに戸惑います。最初の数日は戦力外、くらいの心づもりがちょうどいいです。
拒否・嫌がられた場合の対処法と相談窓口
育児休業は法律にもとづく労働者の権利です。会社は要件を満たす申出を拒否できません。それでも渋られたら、まず就業規則と申出の記録を残してください。
社内で解決しない場合の相談先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部門です。育児・介護休業法に関する相談を受け付けています。我慢して諦めるのが一番もったいない。
復職時のパタハラ・不利益取扱いへの対策
育休を理由とした不利益な取扱いは法律で禁止されています。降格や不当な配置転換などがあれば、それはパタハラに当たり得ます。
対策はシンプルで、申出・面談の内容を日付つきで記録に残すこと。何かあったとき、記録の有無が結果を左右します。これは家計相談でも必ず伝えています。
パパ育休に関するよくある質問

相談現場で特に多い3つの質問に答えます。いずれも公式の制度内容にもとづいています。
よくある質問
最後に一言。育休でいくらもらえるかを不安に思う気持ちは、私もよく分かります。でも、申請のタイミングさえ外さなければ、手取りはしっかり守れます。まずは今日、自分の会社の就業規則を開いて申出期限を確認する。そこから始めてください。
